論文執筆のための実戦的方法

これまで教えてきた論文執筆に必要なことを書いていきます。

論文執筆のスケジュール

そういえば、全体のスケジュールについての話をしていませんでしたね。

論文執筆は、スケジュールをちゃんと管理しないといけないのにね。

 

ということで、スケジュールのお話です。

 

大体どこの大学であったとしても、1月から2月に提出ということになっていると思います。

1月の頭に提出ということであれば、12月には一応完成していて、1月中は最後の詰めといったところでしょう。

 

その前には、どのようにしなければならないかというと、

 

~7月   先行研究の読み込み

7月~8月 論文のテーマ、構造の最終決定

9月~10月 調査内容の実施

11月~12月 論文の執筆

1月~2月  提出

 

といったところになると思います。

勿論、学校によっては中間試問みたいなものがあって、締め切りが設定されている

場合がありますので、そこに合わせなければなりませんが・・・

 

なお、時期は別として上記の順番はほぼ変わりません。

先行研究の調査をやらないということは絶対にありませんし、構造を決定せずに

書き進むという無謀な行為は時間の無駄です。

 

論文の執筆は、最後の最後になりますが、それまでにきちんと準備ができていれば、

怖いことはありません。

 

 

論文を書くのに絶対にやってはいけないこと -引用元はしっかり記載しよう-

絶対にやってはいけないこと。

 

それは、、、

 

        盗作・剽窃行為

です。

 

盗作・剽窃行為とは、

 

他人の著作から、部分的に文章、語句、筋、思想などを盗み、自作の中に自分のものとして用いること。(ブリタニカ国際大百科辞典より)

 

です。

仮に大学教授が盗作・剽窃行為を行うとどうなるのか?

 

答えは、大学教授は辞めさせられます

さらに、今後どこの大学にも就職できません

それくらい、盗作・剽窃というのは、論文の世界では罪が重たいのです。

(悲しいことに、何件か本当にあるのですね)

 

ばれなきゃいいじゃないかと思うじゃないですか。

今はネット世界が発達しているので、それをチェックするサイトがあったりするのです。なので、ばれるもんだと思ったほうがよいのです。

 

だけど、、

論文には引用しなくちゃいけないから、どうしたらいいんだよとなりますよね。

 

答えは、簡単です。

   「引用元を明記する」

 

これだけです。この行為で盗作・剽窃行為はほぼ回避できます。

 

 

 

 

 

論文を読みか読まないかを決める要素

ある日、先生(もちろん教授です)と話をしていたところで、

論文の話になりました。

 

その先生曰く、

その論文を読むか読まないかは、

     1分以内に決められる、というのです。

 

つまりは、その時間でその論文の価値がだいたいわかるということです。

そのポイントは、流石に教授らしく、非常に的を得ていました。

 

ポイントは3つ

 

1. タイトル

  タイトルでテーマが絞り切れているかどうか

  タイトルは副題も含めて評価するのですが、内容が絞り切れているかどうかで

  大凡判断ができるのです。

  タイトルは、極論いえば論文の一番短い要約ですから、そこが適切に表現できてい

  ないということは、論文の本編は期待できない、ということです。

 

2. 参考文献

  タイトルをクリアすると、参考文献の一覧を見ます。

  これは何を見ているかというと、論文を書いた人の研究度合いを見ているわけで

  す。ちゃんと研究した上で論文を書いているかどうかです。

  たとえば、その分野の研究に絶対外せない論文が参考文献の中にないならば、十分

  に研究されていないということを暗に証明しているわけですから、読む価値はあり

  ません。

  参考文献なんて最後にちょろっとついているものとも思われますが、実はかなり重

  要なのです。

 

3. 論旨

  論旨もしくは要約です。

  タイトル、参考文献をクリアして、最後のハードルです。

  ここでは何かといえば、どういう方法論でどういう結果を導き出しているか、とい

  うことです。

  いくらタイトルが良くても、ちゃんと参考文献が整っていても、結果の導き出し方

  がおかしければ、意味がありません。

 

つまりは、論文を読む前に大体評価ができてしまうのですね。

 

  

 

 

読むときにはペンを持て 

論文を集めたらひたすら読むこととなります。

まずは、質より量ですから、とにかくガンガン読みましょう。

最初は数が重要です。


なお、

論文を読むときにはペンを持ちましょう

私は蛍光ペンを使ってました。

 

ペンで何をするのか?

それは簡単です。
重要・必要と思われるところに線もしくは目印をつける

ということです。(これは次の作業にも通じることです)

 

現在読んでいる論文は、先行研究で使用する候補となるものです。
論文を読んでいればわかりますが、論文の前半はほとんど、

「●●さんの研究では、こういった内容がわかった」
「●●というのは、こういう定義です」
といったことが多く記載されているはずです。

 

つまり、自分で執筆する論文も前半は同様のことになりますので、
そこで使えそうな文言に目印をつけていくということなのです。

 

最初は、あれもこれも重要とか必要と思い、やたらめったら線を引いて

目印だらけになると思います(笑)。

 

私も最初真っ黄色になりました・・・

 

しかし、それでよいのです。


そのうち、だんだんと量をやることによって質がわかってきますから、
数が少なくなるはずです。

 

とにかく、ペンをもってガンガン読み進めていきましょう。

本は読むな!!! -そんなものは、必要になったら読めばよい-

論文を書くのに本を読むな!!ってどういうことよ。

って思うでしょう。

 

これは、最初から本を読むのは時間の無駄ということです。


本は必要となった場合に、読めばよいのです。
ここを間違えて時間を浪費している人が沢山います。

 

最初、読み始めるのは、本ではなく「論文」です。

 

もっと言えば、「紀要論文」一択です。

 

従って、先行研究論文の資料集めから始めてますが、

その際集めないといけないのは、「紀要論文」と呼ばれるものです。

 

「紀要論文」とは

 

大学が発行する論文集、もしくは学会が発行する学会誌に掲載された論文を指します。

 

(●●大学論集とか記載されていますからすぐにわかります)


なぜ、本ではなく、「紀要論文」なのか、そこには3つの理由があります。

 

1.本は内容が薄い場合がある。
 いくら大学教授が執筆した本であっても、その場合には一般の人にわかりやすく書い

 た内容の場合が多くあります。

  一方で、「紀要論文」は純粋な論文ですから、余分なことは書いてありません。
 そのため、同じ時間を費やすなら「紀要論文」のほうがよいのです。

 

2.絶対的時間の節約
 本であるならば、300ページ程度は読まないといけません。一方で「紀要論文」は20

 ~30ページ程度です。
 ページ数で読む時間は計算できますよね。圧倒的に時間の節約ができるわけです。

 

3.参考文献として

  「紀要論文」の方が評価される。

 

 内容は、1.とかぶりますが、「紀要論文」は研究論文としてオーソライズされたものですから、本よりも評価されます。そのため、自分自身の論文の参考文献欄も本よりも「紀要論文」の数が多いほど、ちゃんとした 論文とみなされる可能性が高いです。

 

そのため、最初は本を読むのではなく、「紀要論文」を読み、どうしても読まなければならない本が出てきたときに読めばよいのです

論文という名の「随筆」

論文は、自分の意見を表明するものです。

 

しかし、よく出会ったのは

    「随筆」を論文と言い張る人

です。

 

それも、

    こころにうつりゆく

       よしなしことを、

        そこはかとなく

           かきなぐった

ものです。

 

正直、独りよがりで読むに堪えないものが多かった。

(読む側にとっても苦行でしかありませんでした)

 

確かに、文章は自分が感じるものを文章をしたものであり、自分の意見を表明するものではありますが、とはいえそれがすべて論文か?と言われればそうではないと思います。

 

論文で書いていて思うことは、

「論文」には決まり事がある。

ということです。

 

構成上、先行研究は当然必要です。

記載の方法も執筆要項に記載されています。

それ以外にもいろいろあると思います。

 

それを理解せずに、自分の意見をかきなぐった随筆は当然のことながら、論文として評価されません。

 

 

量をこなさないと質はわからない -必要な無駄と本当の無駄-

これは、経験則に基づくものです。

 

「量をこなさないと質はわからない」

 

誰しも無駄なことはしたくありません。

しかし、その無駄かどうかが判断できないのが本当です。

そのため、質がわかるようになるまで、量をこなすしかありません。


量をこなすということは、もちろん無駄が発生します。

具体的には、論文執筆に関係ない論文も読むことになります。


しかし、これは

     必要な無駄 です。

 

量を読むことで、自分の論文に必要なものかどうかが

判別することができるようになります。
また、最終的には自分の論文には関係なかったとしても、

論文の構成や参考文献の捜索などにも役に立つことが多いです。

 

一方で、

 

本当の無駄は、最初から質を求めてうろうろ彷徨う行動

 

です。                            

この行動はとにかく時間を浪費してしまいます。

 

できる限り効率的にとは誰しも思います。
しかし、効率的に物事を進めるには、その準備期間として必要な無駄を積み重ねないといけないのです。

 

だから、暫くの間は、量を追いましょう。

(つまり、論文をたくさん読むということです)